緑深まる7月の京都。
全国的にも名高い祇園祭りを筆頭に見どころ満載な季節ですが、この夏は少しニッチな歴史スポットを巡ってみてはいかがでしょうか?
今回筆者が参加した「~明治維新150年記念~幕末維新志士たちゆかりの地をたずねて」はその名の通り、明治維新にたずさわった偉人と関わりのあるスポットをバスで巡るツアー。
参加できるのは150周年である今年限り、7月~9月末までのわずか2か月間の期間限定なんです。
集合場所からお食事、さらには良かったトコロや惜しかったトコロまで、一挙にレビューしていきます!夏の小旅行の参考になれば幸いです。
※写真はすべて事前に許可を得て撮影したものです。
日頃は撮影禁止なものがほとんどですので、訪問する際はご注意くださいませ。
<目次>
1. バスツアーの大まかな行程
2. ツアー参加体験記
2-1 集合から角屋まで
2-2 新選組刀傷の角屋
2-3 島原に現存する唯一の置屋「輪違屋」
2-4 「清和荘」で京御膳ランチタイム
2-5 鳥羽伏見の戦いの屯所「御香宮神社」
2-6 幕末維新ミュージアム「霊山歴史山」
3. 「京の夏の旅2018」定期観光バスツアーを終えて
3-1 良かったトコロ
3-2 惜しかったトコロ
4. おわりに
1. バスツアーの大まかな行程
筆者が参加したのは、京都定期観光バスが運営する「京の夏の旅」。
今年で43回を迎えるテーマに合わせて京都を巡る、夏恒例のツアーです。
伝統文化・食文化体験などさまざま種類がありますが、筆者は「~明治維新150周年~幕末維新の志士たちゆかりの地をたずねて」に参加しました。
料金は、大人9,200円、小児(6歳以上の小学生)6,410円。
(※各施設の入場料や清和荘でのランチ込み)
具体的な行程は以下の通り。
JR京都駅前⇒角屋
▼(約15分)
角屋(約50分)
▼(徒歩移動約5分)
輪違屋(約30分)
▼(約30分+徒歩移動約5分)
清和荘でランチタイム(約1時間)
▼(約15分)
御香宮神社(約25分)
▼(約25分+徒歩約5分)
霊山歴史館(約1時間)
▼(約20分)
JR京都駅前到着
所要時間は6時間~6時間半。半日使ってのツアーとなります。
2. ツアー参加体験記
2章ではじっさいにツアーに参加した時の時間配分や、それぞれの見どころをピックアップしてご紹介!
見ておくべきポイントも併せてお教えします。
2-1 集合から角屋まで
【10:10】JR京都駅鳥丸口のりば集合
集合場所はJR京都駅烏丸口定期観光バス乗り場。
中央口の改札を抜けて、左へ進むと観光バスが並んでいる場所があります。
筆者は出発20分前には到着していたのですが、すでにバスが止まっていました。
受付を済ませると、バスツアー参加者の印であるステッカーとパンフレットが貰えますよ。
京阪バスの車体はこんな感じ。
白を基調としたボディにビビッドな赤のラインが入っていて、ひろーい駐車場でもすぐに見つかりそう!
2列2席シートで中はフローリング仕様。お手洗いはついていないので、乗車前に済ませておきましょう。
【10:18】全員集合したので、予定よりも2分早くバスが出発。
車にゆられること約10分強。
【10:30】角屋近くの駐車場に到着!
2-2 新選組刀傷の角屋
角屋は住宅街の入り組んだ場所に位置しているので、駐車場からは徒歩移動。
この日の最高気温は35℃の快晴、歩いているだけでも汗が止まりません。
歩くこと約5分で、最初の見学施設「角屋もてなしの文化美術館(以下、角屋)」に到着です。
「角屋」は、かつて太夫・芸妓さんが集まっていた旧花街=島原開設当初から残る、揚屋建築唯一の重要文化財。
いわゆる彼女たちが住み込みで働いていた遊郭を指すのではなく、お食事を食べながら芸を鑑賞したりする揚屋のスタイルで営業していました。
時にはお茶会や句会を行い、文化サロン的な役割も果たしていたそうです。
この「角屋」へ足を運んだのは、かの西郷隆盛を筆頭に坂本龍馬や近藤勇など、名だたる人ばかり。
建立してから約380年も経つ建築物なので、いつでも自由に見られるワケではないんですよ。
そんな「角屋」の見どころをピックアップ。
「角屋」訪問時に、じっさいに西郷さんが足を洗うために使っていた桶。
これのおかげで「角屋」は取り壊し計画の対象から免れたと言われる代物。
美しい枯山水の臥龍松(がりょうしょう)の庭。
文化サロンの役割を果たした松の間や茶室から見える中庭も、角屋の見どころ。
昔はここで句の大会が行われていたと聞くだけで、風情のある場所なんだな、と感じました。
館内では専属のスタッフさんが説明してくれるので、とっても分かりやすい!
あそこには誰々が座っていたこんなことをしていた、そんなことを聞くだけで不思議と当時にタイムスリップした気持ちになりますよ。
【11:20】50分間の見学が終了。続いての施設「輪違屋」までは、徒歩で移動。
「輪違屋」にはお手洗いがないので、不安な方は「角屋」で立ち寄られるのがベターでしょう。
2-3島原に現存する唯一の置屋「輪違屋」
「輪違屋」はさらに住宅街の入り組んだ場所に立地、「角屋」からは歩いて移動。
徒歩約5分で「輪違屋」に到着です。
「輪違屋」は、島原で創業以来営業を続けている唯一の※置屋。
(※芸鼓さん・舞妓さんなどが住み込みで働く場所。ここでは太夫さん)
一見こぢんまりとしている「輪違屋」ですが、ここでの見どころは何と言っても、こだわりの建築様式。
300年以上も前に建てられたとは思えないほど、細部にまでこだわり抜かれたインテリアになっています。
いまにも太夫さんが下りてきそうな木造の階段。
のれんに描かれている2つ輪のマークは、いわゆる「輪違屋」のロゴにあたるもので、よくみると色んな場所にさりげなく用いられています。
隠れ「輪違屋」ロゴ探しをしてみても、面白いですよ。
それでは見どころを2つピックアップしてみましょう!
【傘の間】
太夫さんがお客様から呼ばれて置屋から家に向かう際、道中傘というものを差しながら歩いていました。
この部屋ではじっさいに使った傘がふすまに貼られています。
もともと趣味で作ったお部屋だそうですが、そう思えないほど粋に感じませんか?
【紅葉の間】
続いては個人的にお気に入りな、紅葉の間。
壁に無数に描かれた紅葉は本物の紅葉を埋め込んではがしたあとに、顔料を塗って仕上げたものです。
障子の木材には紅葉にちなんで楓の木が使われるなど、言われなければ分からないこだわりにも感心させられました。
外からなんとなく見ただけでは分からない、センスの極みと言える建築物。
きっと素敵な方がデザインしたのだろう、想像するだけでワクワクさせられました。
【12:00】あっという間に30分の見学タイムが終了。
続いてはいよいよお待ちかね、「清和荘」でのランチタイム。
「輪違屋」から5分ほど歩いてバスに戻り、出発です。
2-4 「清和荘」で京御膳ランチタイム
車にゆられること約30分。
近くの路上にバスを止め、そこから徒歩約5分歩きます。
【12:30】「清和荘」に到着。
閑静な住宅街の中に突如現れる、お屋敷のような建物の料亭「清和荘」。
創業1957年。京野菜と伏見の地下水をふんだんに用いた京料理がいただけます。
さっそくバスガイドさんに案内され、お屋敷の中へ。
二階にあがるとすでにお弁当の準備がされていました。
とっても立派なお重箱!さっそく開けてみましょう。
左奥から時計回りに茄子の和蘭煮、生麩田楽・八幡氷こんにゃく・出汁巻き卵・地鶏の塩焼き、すずき柚庵焼き・山桃ワイン煮、鱧(ハモ)の湯引きなどなど。
全てが「清和荘」の手作りで、優しいお味が印象的。中でも生まれて初めて食べた、赤い八幡氷こんにゃくの美味しさには脱帽。
香の物付きの白飯に、赤出汁。
デザートのグレープフルーツゼリー。さっぱりしていて、夏にピッタリのお味でした。
帰り際入口に「清和荘」オリジナルのお土産を発見。見た目にも可愛らしいお酒の清和のしづくが一番人気だそうです。
お料理のクオリティはさることながら、数奇屋造りで客席から見られる景色が美しいのも「清和荘」のポイント。
食後は中庭を散策して楽しむのが、オススメですよ。
約1時間の楽しいランチタイムも、あっという間に終了。
ボリューミーでしたが、野菜が多いおかげで、程よい感じで満腹に。
【13:45】ふたたびバスに戻って、次なる目的地「御香宮神社」へ出発です。
2-5 鳥羽伏見の戦いの屯所「御香宮神社」
10:20からはじまったバスツアーも早いもので、後半戦。
「清和荘」から車を走らせること15分弱。近くの路上にバスを止め、そこから少し歩きます。
【14:00】「御香宮神社」に到着。
「御香宮神社」は鳥羽伏見の戦いの際に、薩摩藩の屯所となった神社。
神社とは思えないほどカラフルな極彩色の割拝殿は、京都の指定文化剤にも登録されています。
この神社の見どころは、何と言っても伏見の名水である御香水。
862年に境内から良い香りの水が湧き出し、それを飲むと病が治ったのだとか。
それ以来、あらゆる病を治す水として知られ、今なお多くの人がこの水を汲みに神社に足を運びに来ているんですよ。
ツアー参加者ほぼ全員が飲まれていたので、筆者も便乗。
お話を聞いたからか体に良さそうなお味がしました(笑)ここでしか飲めない御香水、参加される際はぜひ口にしてみてくださいね。
25分の参拝時間が終わって、バスへ戻ります。
【14:25】いよいよ最後の目的地「幕末維新ミュージアム霊山歴史館(以下、霊山歴史館)」へ。
2-6 幕末維新ミュージアム「霊山歴史山」
車を走らせること約25分。
【14:50】霊山歴史館近くの駐車場に到着!
駐車場は距離的に近いのですが、ちょっぴりしんどい坂を上らなくてはいけません。
(※後で坂を上るためだけの無料シャトルバスがあることを知り、憤慨する筆者)
【15:00】霊山歴史館に到着
霊山歴史館は国内で唯一、幕末維新に特化した専門博物館。
コアなスポットではありますが、歴史・新選組好きにはたまらないスポット。
筆者が訪れた時は、大河ドラマ西郷どんにちなんで、大西郷展が行われていました。
今回は特別に事前許可をいただきましたが、普段は館内撮影禁止ですよ。
見ておくべきポイントを2つピックアップ。
館内に入るとスタッフの方が、西郷隆盛さんの展示に関する説明をしてくれます。
西郷隆盛は本名?肖像画のじつは?などなど。(ネタバレになってしまうので、気になる方はツアーの参加してのお楽しみ。)
学生時代に歴史の授業で幾度となく勉強してきましたが、こうした裏話を聞くとより面白く感じました。
そして常設展で飾られている、坂本龍馬を切った本物の脇差。
さびている様子や刃こぼれから、当時の激しい戦いの様子が伝わってきます。
歴史的瞬間を刻んだ、じっさいの刀。
これが見られるだけでも「霊山歴史館」に来る価値があると言っても、過言ではありません。
2階には、新選組の衣装に着替えて写真撮影ができるブースや、等身大パネル。
本物の鉄砲に触れるコーナーまで。昔の男性は、背の低い人が多かったようです。
ただ見学するだけでなく、クイズ形式で学んだり、3D再現劇場もあったり・・・。
大人はもちろん子どもでも楽しめそうな博物館だな、と感じました。
出口のお土産屋さんには、そうそうたる幕末メンバーのポスター(310円)や様々なオリジナルグッズが売られています。
新選組ファンの方は、ぜひ記念に買われて帰ってはいかがでしょうか?
1階から2階、比較的駆け足で見学して所要時間は約40分。
15:55までに駐車場へ戻らなくてはいけないので、ひと足お先に退館しました。
行きに登ってきた坂を下って、少しだけお店を散策して駐車場へ。
【15:55】定刻通りJR京都駅へ出発。
バスを走らせること約20分。
【16:15】JR京都駅鳥丸口のりばに到着。お疲れ様でした!
3. 「京の夏の旅2018」定期観光バスツアーを終えて
中学生の頃、修学旅行で京都に行ったきり・・・筆者にとって約10年振りの京都でしたが、とても楽しむことができました!
以下では楽しかったことも含め、惜しかったトコロもまとめていきます。
3-1 良かったトコロ
◎移動がラク
当たりまえのことなんですが、空調の効いたバスに揺られての移動はとってもラク。
特にランチの後は少し眠たくなってしまうので、うたたねできたりするのも嬉しかったです。
公共交通機関で巡るのも良いけど、やっぱり乗っただけで目的地まで送ってくれるバスツアーの便利さに気付かされました。
◎あえて定番をハズしたスポットがイイ!
京都と言えば、清水寺や金閣寺などを連想しますが、そういった場所ってとにかくすごい人ですよね。しかも夏休みとなれば、なおさら。
今回のツアーで巡った場所は決して有名なスポットではありませんでしたが、その中にも当時の京都の人々の粋な計らいや息遣いを感じることができて、ちょっとした京都ツウの気分になれちゃいますよ。人が少ないでゆっくりと見学できるのもポイント、個人的にすごく楽しめました。
3-2 惜しかったトコロ
△とにかく暑い
訪れた場所は古くから続く建築物のため、建物に冷房がないケースがほとんど。
「清和荘」とラストの「霊山歴史館」以外は、空調が効いていませんでした。
春・秋の涼しい時期ならまだしも、夏のツアーだと、暑がりさんには少ししんどいのではないでしょうか。
また大型バスが入れないところも多く、徒歩移動もあったので、足が悪い方には不向きかと思います。
⇒汗ふきシートや制汗スプレーがあると、快適に過ごせるでしょう!
△写真を撮れる場所が限られている
今回は取材ということで特別に写真を撮らせていただきましたが、「角屋」・「輪違屋」は一部、「霊山歴史館」は館内撮影禁止。
歴史・新選組ファンなら、きっと写真を撮りたい人も多いハズ。そういった人には少し、物足りなさを感じてしまうかな?と思いました。
⇒写真を撮ることよりも、ガイドさんのお話に耳を傾けましょう!
4. おわりに
歴史・新選組の知識がなく、このツアーに参加する前は楽しめるか少し不安でした。
ですが、随所でバスガイドさんが豆知識を教えてくれたり、施設では専属のスタッフさんによる解説が行われたり、どの話も分かりやすくて面白かったです。
美しい和庭園を見ながらのお食事、車窓から広がる京都の景色、そういったことをひっくるめて、充実した時間が過ごせました。
歴史に詳しくない筆者でも十分に楽しめたので、ファンの方には、きっとたまらないツアーでしょう!
今年の夏はいつもとは少し違う京都を感じに・・・「京の夏の旅2018」バスツアーに参加してみてはいかがでしょうか?
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