WILLER EXPRESS「リボーン」の特徴・反響・これからの課題

公開日:2018/6/30

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リボーン

車内の写真を一目見れば、「何これ!?」となるのではないでしょうか。
2017年2月に運行を開始した、高級タイプの高速バスシート「ReBorn(リボーン)」。
これまで様々な独自の高速バスシートを開発してきた、WILLER EXPRESSの新作です。

WILLERのシートシリーズの中でも、かなり独特なこのシート。
高速バスファンとして気になる存在です。そこで今回、新シート開発にも携わっている、WILLER EXPRESSの”中の人”にインタビュー!車内も見せてもらい、いろいろ撮影してきました。

どんな意図で作られたのか。
どんな人が乗っていて、どんな反響なのか。
これからの展開は――じっくり伺ってきました。
写真もたくさん撮ってきましたので、次のご旅行で乗るか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

【1】あえて2+1列シートを作った狙い

――WILLER EXPRESSといえば、高級車両として「コクーン」が思い浮かびます。
2列シートで1席ずつがブースのように分かれていて、かなりインパクトがありました。

COCOON
▲2列シート「COCOON(コクーン)」

また他社でも、高級車両として2列シートの開発が続いています。この流れで、あえて「3列(2列+1列)」にしたのはなぜでしょうか。

「コクーン」は、一人当たりの面積はとても広いシートです。ただ、横幅が普通程度(47cm)。ブース型になって区切られていることで、男性からは「足元がつっかえてしまう」との声もありました。

――女性にはぴったりのサイズですよね。私(身長158cm・女性)としては快適なのですが。

足元
▲コクーン乗車時の足元。つま先の向こうにあまりスペースは無い。奥に細長いスペース

リボーン乗車時の足元
▲リボーン乗車時の足元。つま先からまだ十分なスペースがある

今回、新たなシートを開発するにあたっては、男性が乗っても快適であることを意識しました。同時に、高級シートタイプだからとそのまま料金に跳ね返らないようにしたかったんです。
それには、ある程度、定員数が多くないといけません。

一人当たりの空間を確保しつつ、できるだけ多くの方にご利用いただけるレイアウトは実現できないか。そう考えた結果、横に2席+1席の計3席×縦6列、計18席の構成になりました。

【2】フラットに近い、寝ているような快適シート実現のために

――3列独立シートだと、通路が2本入るので、一人当たりの横幅が狭くなります。2+1の3列シートにすることで、横幅も確保できるということですね。
また一般的なバスだと、縦10~11列ですから、かなり前後間隔が広いとわかります。

弊社では、これまでも2席+1席の3列シートタイプとして「ニュープレミアム」がありました。こちらは、定員24名、前後の座席間隔は117cmでした。「リボーン」は縦の列を減らし、158cm。一人当たりの面積も、前後の広さも大きく異なります。

リボーンレッグレスト・フットレスト

また、レッグレスト(下脚部置き)・フットレスト(足置き)がひとつなぎになっています。従来のシートだと、フットレストに足が届かず、足首以下が下がってしまい、翌朝むくみが……という方もいらっしゃいました。これを解消した形です。
さらに、一席ずつが独立したシェル型ですので、リクライニングをしても自分のシェルの中でスライドします。

――つまり、後ろの席を気にせず、リクライニング全開にできるんですね。

リクライニング

そうなんです。リクライニングシート・レッグレスト・フットレストとひとつなぎになって、かなりフラットな、寝ている状態に近い座り心地が実現できました。

――これまでのバスから大きく生まれ変わった、まさに「ReBorn」なのですね。

【3】充実の設備の数々

――ところで、近年の高級高速バス車両というと、ありとあらゆる設備を搭載、というケースが多いです。
実際「リボーン」も、

◎電動ゆりかごリクライニング
電動リクライニング
◎フットレスト
◎レッグレスト
◎コンセント
座席
◎テーブル
座席テーブル
◎ドリンクホルダー
◎靴収納スペース
靴収納スペース
◎全員分の網棚スペース
網棚スペース

……と、かなり充実した印象です。
その中で、高速バスの設備としてはメジャーな部類のトイレが無し、というのはやや意外にも思えました。

【4】あえてトイレを設置しない理由

リボーン発表時にも「トイレないんですね」と言われることはありましたね、やはり。

――ただ、WILLER EXPRESSはこれまでもトイレ無し車両が中心です。
その意図は。

意図としては、大きく2点。
一つは、かつて「バスのトイレ」というと、においが気になる、という声がありました。清潔なイメージが低く、女性は敬遠する人も。
また、乗車時間の長さにあわせて1~2回のトイレ休憩を設定しているため、車内トイレの利用機会がそもそも少ないんです。

あとは、トイレ設置に伴い席数が減る、というのもネックですね。もちろん無いよりはあったほうがいいのですが、一人当たりの乗車代金が数百円あがってしまいます。それは望まない、というお客さまも多い。席数に影響しにくい二階建て車両はつけているのですが。

――なるほど。

ただ、やはりニーズはあります。意外と男性からのご希望が多いんですよ。
開発会議では、「トイレをつけたほうがいいのか。つけるとしたらどんなシート(車両)にか」という議論はしています。

【5】あえて外観にピンクを使わなかった理由

――ところで、一度外観の話を。
高速バスユーザーであれば、WILLER EXPRESS=ピンクのバス、で知られています。
けれど今回、外観にまったくピンクが入っておらず、驚きました。

リラックスNEW

“ピンクのバス”でしっかり浸透していることは、私たちとして嬉しいことです。ただ、今回はいつもとちょっと違う。特別なシートであることを伝えたかった。そこで思い切って、「ピンクじゃないWILLER EXPRESS」の車体となっています。

お客さまからは、やはり「こんなのもあるんだ!」という、驚きの声がありましたね。それはネガティブなものでなく、ちょっと珍しいものを見たぞ、というようなニュアンスでして。
「リボーン」の前に作った、「リラックス≪NEW≫」でも少しデザインを変えています。これでピンクをやめる、というわけではないのですよ。ただ、ピンク”だけ”でなく、いろんなことを伝えていきたいと思います。

――デザインで特別なシートであることを伝える、という点では、内装もそうですね。床が木目調であったり、照明であったり。

高級感を出しつつよい雰囲気を、というところは意識して作っている部分でもありますね。

【6】運行開始から一年。反響は

――運行開始から1年がたちました。反響はいかがですか。

嬉しいことに好評をいただいています。
高速バスは若年層の利用が多いですが、他のバスタイプより、若干平均年齢が高いですね。若手社会人の方ですとか。

また、特に男性から好評という印象です。WILLER EXPRESSは、女性乗客が男性より多い傾向にあります。その中で、「リボーン」は男性が半数前後を占めています。

――何名か、周囲のリボーンに乗車した男性に感想を聞いたのですが、好感触でした。
身長が高い人、恰幅がいい人、いずれも快適性に満足。料金最重視でなく、快適性を求めたい人には嬉しい車両だと思います。

【7】課題は”わかりにくさ”

ただ、課題もあります。
「リボーン」は、体験していただくと、ほとんどの方に「いい」と言ってもらえるシートです。
ただ、予約前に他のバスと比べたとき、予約サイトの区分上は「3列シート(2列+1列)」。
3列独立シートよりも狭く感じられてしまうんです。

――実際には、多くの3列独立シートより、一人当たりのスペースは広いのですが……。難しいところですね。
3列独立シートは人気のシートタイプ。隣の席との間に必ず通路が入って、隣が気にならないのは、一人旅が多い高速バスユーザーにとって確かに魅力的ですから。

「リボーン」の場合、2席並びの側をご利用いただく場合も、座席間に壁があるような形です。
独立シート
座った感覚は独立シートに近いはず。独特な形のシートですので、どう伝えるかは、これからの課題だと思っています。

【8】これからの展開

――これからの「リボーン」の展開は。
今(2018年3月時点)では関東⇔関西間と関東⇔東海間のみの運行ですが、路線拡大のご予定は。

今は合計4台の「リボーン」があり、2路線で上り・下りを運行中です。
路線を拡大するとなると、車両を増やすことになります。ニーズや運行距離など慎重に見極めていく必要があります。今は未定というのが正直なところですが、ご好評いただいているので、できるかぎり多くの方にご利用いただけるよう、広めていければ嬉しいなと思っています。

――「男性が快適に過ごせる空間」という企画意図は、十分実現されているのではと思います。
これからの展開も楽しみにしております!

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